当院で使う頻度の多い薬

当院で使う頻度の多い薬ご自分が飲まれるお薬は、名前と薬効を是非とも把握されることをお勧め致します。
薬の名前は概ね次の3通りの表現があります。

①薬効による名称、②固有名詞(化学物質としての一般名)、③先発品の商品名
例えば、
①消炎鎮痛薬、②アセチルサリチル酸、③バファリン。
①抗ヒスタミン薬、②フェキソフェナジン塩酸塩、③アレグラ。
といった具合です。

なお、「ジェネリック」の場合は、「②の一般名」+「製造元会社」の名前がほとんどです。
『アセチルサリチル酸「九段」』『フェキソフェナジン「千代田」』のような感じです(この例は実在しません)。
①、②、③全て覚えるのは大変ですから、まず①を、次に②か③を覚えることをお勧め致します。

現代の薬は非常に精密に設計されており、日々、新薬も誕生しています。「強い薬、弱い薬」といった分類はもはや不可能ですし、ナンセンスです。症状だけでなく、体質によって細かく使い分けることができるようになりました。最近はお薬手帳もスマホで管理できますし、受診の際は、これまでに使用したことのある薬を是非お伝え下さい。

頭痛薬

NSAIDs(エヌセイド、エヌセイズなどと呼びます)

NSAIDs(エヌセイド、エヌセイズなどと呼びます)いわゆる「鎮痛解熱剤」です。Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug(s)(非ステロイド性抗炎症薬)を略してNSAID(s)と言います。市販されているもののも多く、バファリン、イブ、ロキソニン、ブルフェン、ボルタレン、カロナール、セレコックスなどです。ほぼ同じ使い方で、共通の注意点は胃潰瘍と喘息です。毎日長年使い続けると腎障害に注意が要ります。セレコックスは胃への影響が少ない設計です。カロナールは厳密にはNSAIDsではなく、副作用が少なく、比較的安全とされます。巷には鎮痛作用の強さランキングのようなものが多々ありますが、個人差の方がずっと大きい印象があります。特に緊張型頭痛の場合は、原理的にも薬だけで痛みをゼロにすることが不可能ですから、一時しのぎとして使用し、過大な期待はしない方が良いでしょう。
とはいえ、全ての痛み止めの基本が、NSAIDsと言っても過言ではありません。
片頭痛の際には、原理的には効果はありませんが、片頭痛に緊張型頭痛が重なっていることもあり、NSAIDsが無効という訳ではありません。

片頭痛治療薬

発作が起きた時のみ使うトリプタン製剤と、発作が起きにくくするため毎日使う予防薬に大別されます。始めはトリプタン製剤のみを使い、それでも頻度が改善しない、症状が強いと言った場合に、予防薬を考慮します。

エムガルティ(新薬)
  • 国内初のCGRPを抑制する薬理機序の片頭痛薬。
  • 薬理学的な名称は「ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤」。
  • CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチドという物質)は頭の硬膜や三叉神経にあり、片頭痛発作時の血管拡張や炎症反応の直接の原因とされている。
  • この薬は、CGRPの働きをブロックすることで、発作を減らし、また、発作を軽いものにする。
  • 「モノクローナル抗体製剤」の意味するところは、分子生物学的に「本来の目的のみを達成する極めて精密に設計された薬剤」。副作用が極めて少なく、非常に高い効果を見込める一方で、
  • 原則として注射で直接血液中に入れる他ない。
  • 「モノクローナル抗体製剤」は細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産する必要があり、化学合成薬(普通の薬)と比べて、どうしても高価になってしまう。
  • 「モノクローナル抗体製剤」は他の分野では、抗がん剤、免疫抑制剤、アレルギー薬で目覚ましい成果を上げている。
  • 片頭痛の回数を減らす、「予防薬」。発作も軽くなるかもしれない。
  • 当院でよく使うミグシス(ロメリジン)、インデラル(プロプラノロール)と同じ位置づけ。
急性期治療薬(=トリプタン)

片頭痛に特化した薬で、現在はほぼトリプタン製剤を指します。現在5銘柄があります。セロトニンを増やして、痛みの元になっている血管の拡張を抑えることで、片頭痛発作を抑えます。片頭痛以外のタイプの頭痛には効きません。トリプタン系製剤は、どれも3割負担で1錠250~400円と高価ですが、日常的に使う訳ではなく、発作時に使うものです。
少ないものの、主な副作用は、めまい、ふらつき、脱力、胸苦しさが代表的です。特に胸苦しさについては「トリプタン感覚」などと言われ、喉から胸にかけての上半身の圧迫感や苦しさが特徴的です。医者から見るとあたかも心筋梗塞のように見えますが、心筋梗塞ではありません。とはいえ、血管を収縮させる薬ですから、狭心症や脳梗塞の方は使用しない方が良いです。なお、即効性のあるものほど、副作用も強く出る印象です。

急性期治療薬(=トリプタン)各種トリプタンの使い分けは、大まかな傾向はあるものの、患者様各々の好みが大きいように思います。効くまでの時間と、持続時間が主な違いですから、ご自身の発作のタイプや、飲むタイミングによって使い分けると良いでしょう。副作用が気になった場合は、量を減らすか、違うトリプタンに変えることを考えます。高価な薬なので、いきなり沢山処方を受けず、ご自身に合ったものが見つかるまでは、試行錯誤、と思って下さい。90%以上の方はどれかに落ち着くとされています。

頭痛の解説にも書きましたが、1か月に10回以上トリプタンを使う状態が3か月以上続くと、「薬物乱用頭痛」が発生すると言われますので、回数が増えたり、効きが悪くなってきた時は必ずご相談下さい。また、片頭痛をお持ちの方が、純粋な緊張型頭痛になることも十分あるので、頭痛の数え方も考慮が必要です。「なんか今日は頭が重いな」を全てカウントし、トリプタンを使ってしまうと、あっという間に薬物乱用頭痛の基準に入ってしまいます。その理由から、初めてトリプタンを使われる場合は、「頭痛ダイアリー」を付けられることをお勧めしております。

イミグラン

内服・点鼻・注射の3種類のラインナップがあり、内服30分、点鼻15分、自己注射薬5~10分で効果が出るとされ、その順で副作用も強くでてきます。2時間程度で切れるので、すぐ効いてすぐ切れる印象です。

マクサルト

早く効いて早く切れます。水無しで内服可能。

レルパックス

早く効いてゆっくり切れます。副作用が比較的少ないとされます。

ゾーミック

ゆっくり効いて、ゆっくり切れます。水無しで内服可能。

アマージ

ゆっくり穏やかな印象ですが、圧倒的に長く効きます。

予防薬

どの程度の発作で予防薬の内服を始めるかは、状況により様々で、決まりは無いように思います。一般的には月2回以上で考慮され、月10回以上で開始するべき、とされていますが、トリプタンを始めた時期や、患者様の生活背景によっても、予防薬を導入するかどうかは大きく異なってくるからです。とはいえ、片頭痛予防薬として使われる薬はどれも片頭痛専用ではなく、他の病気での実績が豊富な薬であり、比較的安全に使うことができますし、片頭痛自体が一生続くことはありませんので、思い詰めて導入する必要も無いと思います。

ミグシス・テラナス、インデラルなど「降圧薬」

カルシウムブロッカーや、ベータブロッカーと言われる「血管拡張薬」です。片頭痛が起こる一番最初の血管収縮を抑えるという目的です。これらはもともと血圧を下げる「降圧薬」ですが、血圧を下げる作用が非常に弱いもので、今では降圧薬として使うことはあまりありません。

デパケン・イーケプラなど「抗てんかん薬」

片頭痛が三叉神経を刺激する、と言う発想から神経の刺激を弱める目的で使います。もともとてんかんを抑える「抗てんかん薬」ですが、てんかんは脳の神経自体の過剰な興奮ですから、仕組みは同じです。三叉神経痛や他の神経痛にも使います。片頭痛予防薬として使う場合は、てんかんよりずっと少ない量を使うことがほとんどです。デパケンなど一部の抗てんかん薬は妊娠中は使えませんので可能性がある方は注意が必要です。

その他

ガイドラインには非常に多くの薬が挙げられていますが、副作用も考慮する必要があり、代表的なものでコントロールが難しい場合に個別に対処致します。

不眠の薬

ベンゾジアゼピンについて

ベンゾジアゼピンについてベンゾジアゼピンという「ジャンル」の薬をご存知でしょうか。非常に多くの薬が発売されており、特に日本では「乱用」とさえ言われているほど、処方されているようです。その昔、「睡眠薬で自殺」などという話があったようですが、このベンゾジアゼピン以前の睡眠薬は、多量に内服すると死に至る危険なものでした。それが、「極めて安全」が売りのベンゾジアゼピンがデビューしたことで、劇的に状況が変わった、という歴史的な経緯があり、今では多量に内服することで死に至る薬はほぼ、ありません。
一方、近年非常に問題になっているのが、ベンゾジアゼピンの依存性です。文字通り、無いといられなくなるだけでなく、ある程度内服すると神経が慣れてきてしまい、効果が乏しくなってくること(耐性)も示されています。さらに、「せん妄」と呼ばれる「意識の変容」を起こしやすく、また酔っ払いのような「ふらつき」が大きな副作用であることから、特にご高齢の方には処方を避けるよう言われています。

既に外国では規制が非常に厳しく、日本から自分の内服用のベンゾジアゼピン薬剤を持ち出す際には特別な手続きが必要なことも多いようです。今後日本でも処方制限がより厳しくなるのは時間の問題と思われます。正しく使えば非常に良い薬なのですが。
ベンゾジアゼピンの作用は3つです。睡眠作用、抗不安作用、筋弛緩作用です。その3つのどれを強調するか、また、持続時間をどう設定するか、によって様々な薬が開発・発売されています。

睡眠作用がメインなら、睡眠薬。その時間がごく短時間なら、睡眠導入剤。(ハルシオン、レンドルミン、サイレースなど)
抗不安作用がメインなら、抗不安薬。(デパス、ソラナックス、メイラックスなど)
筋弛緩作用がメインなら、筋弛緩薬。(テルネリン、ミオナールなど)

ベンゾジアゼピンについていずれも病院では日常的に見かける名前ばかりですが、上述の理由で、極力処方は避けるのが現在の潮流であり、既に長期に内服されている方は事実上ほぼ効いておらず、内服する「習慣」だけが「くせ」として残っていると考えられるために、極力減量するか他の薬剤に切り替えることが望ましいです。
なお、同じ系統の場合、作用時間が短いものほど「キレがよく」感じられるため、依存性が作られやすいようです。よく効くと実感できるものほど、クセになりやすい、ということですね。

なお、注意したいのが、これらの薬は全て自動車の運転や危険作業が禁止となっている点です。添付文章に禁止と書いてある以上、医師からは禁止とお伝えする他ありません。

新規の薬

上述のベンゾジアゼピンを置き換える薬として、新たな睡眠系の薬が発売されるようになりました。

マイスリー

非ベンゾジアゼピンの代表としてデビューし、睡眠作用以外はほとんどないことから、飛躍的に広まりました。しかし、血中半減期が2時間(で効果が切れる)というほど、あまりにキレがよいからか、離脱症状として「反跳性不眠」が目立つと言われています。

ルネスタ

アモバンという薬の改良版で、これも非ベンゾジアゼピンに分類されます。マイスリーよりはまだマイルドですが、マイスリー同様、離脱症状はあるようです。また、内服した後、翌日まで残るような苦みが特徴でした。アモバンよりはずっと改善されていますが、人によっては耐え難いという場合があります。

ベルソムラ

マイスリーやルネスタも、非ベンゾジアゼピンでありながら、ベンゾジアゼピンとほぼ同じ仕組み(GABA受容体刺激)で眠くなるものでした。一方、全く新しい仕組み(オレキシン受容体拮抗)で設計されたのがベルソムラでした。うとうとするような自然な眠気、という作用で、血中半減期が10時間という、比較的長く効くタイプです。2014年発売開始で、まだデビューほどない薬です。ふらつきやせん妄といったベンゾジアゼピン系の副作用が無い一方で、悪夢や翌日まで眠気が残る、という副作用があります。

ロゼレム

これは眠くなる薬ではありません。メラトニンという体内時計の昼夜のリズムを整えることで、睡眠薬からの離脱を目指せるといううたい文句でデビューしました。ですので、効果が出るのに数か月はかかります。

薬の使い方から分類する頭痛

外来通院だけでコントロールできる頭痛の場合、患者様にとっての選択肢は、「どの薬を飲むか、飲まないか」に尽きます。
そうすると、部位別の頭痛に効く薬の整理が必要です。それは、薬が頭のどこに効くかを分類することになります。

頭痛の原因となる病気

頭蓋骨の外にあって、頭痛の原因となるものは、皮膚、皮膚の神経、血管、筋肉しかありません。(頭蓋骨や頭蓋骨の中が原因の頭痛は、ふつう緊急入院が必要ですのでここでは省きます。心配でしたら脳神経外科医にご相談下さい。)それぞれで起こる頭痛と、代表的な薬をまとめると次のようになります。

部位別、頭痛に効く薬

痛い場所 病名の例 薬の例 商品名の例
皮膚 帯状疱疹 抗ウイルス薬、神経障害性疼痛治療薬 アメナリーフ、バルトレックス
皮膚の神経 後頭神経痛 神経障害性疼痛治療薬 (リリカ、ガバペン)
血管 片頭痛、群発頭痛 片頭痛治療薬、血管拡張薬 イミグラン、マクサルト、インデラル
筋肉 筋緊張型頭痛 NSAIDs、筋弛緩薬 ロキソニン、イブ、テルネリン
頭蓋骨
頭蓋骨の中
髄膜炎、脳腫瘍
くも膜下出血
緊急での精査が必要です

※NSAIDs: 非ステロイド性消炎鎮痛剤の総称
※この他にも病気はあります。確定診断は、医師に相談してください。また理論上有効でも実際には使わない薬、その逆もあります。決して自己判断はなさらないでください。

どこが何故痛いのかを知ることで、不必要な内服が減る

実際の診断や薬の種類・量の選択は医師の仕事ですが、どこが何故痛いのかをご自身でも知ることで、不必要な内服が減るはずですし、不安の緩和にもつながります。ご不明点や疑問点は、ご遠慮なくお尋ね下さい。

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