高血圧

高血圧と脳疾患

高血圧は、さまざまな脳疾患の原因になることがわかっています。脳出血の原因では高血圧が60%~70%を占めていますし、脳浮腫を起こす高血圧性脳症はその名の通り高血圧によって生じます。また、高血圧は動脈硬化を進行させやすいため、脳梗塞などのリスクも上昇します。血圧のコントロールをしっかり行うことは、危険な脳疾患の発症を予防するためにも重要なのです。

高血圧と頭痛

高血圧で頭痛の症状がある場合は、特に注意が必要です。脳には血流を正常に保つシステムがあるため、通常では高血圧の影響で脳の血圧が上昇することはありません。ですから、高血圧で頭痛がある場合、脳内に動脈硬化などによる障害や滲み出した血液が固まった血腫があるといった変化が起こっている可能性があります。脳内に血腫がある状態は高血圧性脳内出血と呼ばれ、頭痛などの症状を起こすことがありますし、血腫が破裂してしまうと脳出血となるためとても危険です。
また、こうした脳の血流を正常に保つシステムは、急激な血圧上昇や慢性的な高血圧によって限界を超えてしまうことがあります。限界を超えて発症するのが高血圧性脳症で、代謝異常による脳浮腫が起こって頭蓋内の内圧が上昇し、神経を刺激して頭痛を起こします。高血圧性脳症は、頭痛以外にも吐き気やめまい、けいれん、意識障害などを起こすことがありますし、進行すると脳だけでなく心臓・腎臓などにも大きな影響を及ぼして命に関わる可能性があります。
そして、睡眠時無呼吸症候群でも高血圧と頭痛を起こすことがあります。睡眠時無呼吸症候群では寝ている間に呼吸が止まって脳の血管が拡張し、頭蓋内の内圧が上昇します。進行すると脳出血や脳梗塞を起こすリスクが高くなりますし、重大な事故やケガにつながることもあります。パートナーなどからいびきを指摘された場合には、検査を受けましょう。

血圧上昇による頭痛は、「ここ数週間~数か月慢性的に頭が痛い」「頭全体が重苦しかったり、両こめかみまたは、後頭部全体の痛み」「痛み止めが全く効かない」という特徴があります。血圧を下げる以外に頭痛は改善できず、逆に血圧を下げるとあっという間に頭痛が消失します。

降圧薬に抵抗がある方もいらっしゃいますが、まず薬で血圧を下げて頭痛の改善と安全を確保し、その間に血圧が上がる原因となった生活習慣病の改善を図り、降圧薬の卒業を目指します。脳MRI、血液検査で血圧に関係するホルモンの測定も併せて最初に行い、危険な病気の確認も行います。

高血圧と頭痛で気を付けたいこと

高血圧のコントロールは多くの脳疾患予防に有効です。高血圧の治療は通常の血圧を低く抑えることが基本になりますが、脳疾患リスクが高い場合にはそれに加えて急激な血液上昇を起こさないようにすることも重要です。血圧の急激な上昇によって脳出血を起こすケースは少なくありません。入浴時に高温のお湯に浸かる、トイレで強くいきむといった時には血圧が急上昇しています。高血圧で頭痛がある場合は、特にリスクが高いため十分に注意してください。頭痛という症状は疲労やストレスなどでも起こる日常的な症状ですが、高血圧の方の場合は頭痛が深刻な脳疾患のサインとして現れている可能性があります。
浮腫や血腫の有無など、高血圧による脳疾患発症のリスクを確かめ、高出血や脳梗塞など深刻な脳疾患の前兆や初期症状を発見するためには、脳神経外科・脳神経内科の受診が必要です。実際の状態を確認しておくことは、適切な血圧コントロールにもつながります。当院では、脳神経外科・脳神経内科の専門的な診療を行っていますので、高血圧や頭痛でお悩みやご不安がありましたら気軽にご相談ください。

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