動悸がストレスのサインかも?原因・症状・対処法・病院目安とチェック

ストレスによる動悸は、多くの人が経験する身体のサインです。
心臓がドキドキする、脈が速くなる、といった症状が現れると、「もしかして重い病気では?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、動悸の原因がストレスであることも少なくありません。

この記事では、ストレスがどのように動悸を引き起こすのか、その具体的な症状、今すぐできる対処法から根本的な解決策、そして病院に行くべき目安について、SEOを熟知したライターが専門的な知見も交えて詳しく解説します。
あなたの動悸がストレスによるものか判断し、適切な対応をとるための一助となれば幸いです。

ストレスと動悸の関係性

私たちの体は、外部からの刺激や精神的な負担である「ストレス」を感じると、心身のバランスを保とうとさまざまな反応を示します。
ストレスが原因で生じる心臓の違和感も、そのストレス反応の一つとして現れる代表的な症状です。

ストレスが動悸を引き起こすメカニズム

ストレスを感じると、脳の視床下部が活性化され、自律神経系や内分泌系(ホルモン)に指令が送られます。
特に、自律神経のうち活動時に優位になる「交感神経」が強く刺激されます。

交感神経が優位になると、私たちの体は「闘争・逃走反応」と呼ばれる、緊急事態に対応するための準備を始めます。
これには以下のような変化が含まれます。

  • 心拍数の増加: 血液を全身に早く送り出し、筋肉や脳に酸素や栄養を供給するため、心臓が速く鼓動します。
  • 血圧の上昇: 同様に、血流を勢いよくするために血管が収縮し、血圧が上がります。
  • 呼吸数の増加: より多くの酸素を取り込むため、呼吸が速く浅くなります。
  • 筋肉の緊張: いつでも動けるように体がこわばります。

これらの体の変化は、生命の危機に直面した際には非常に有効ですが、日常生活での精神的なストレスに対しても同様に起こってしまいます。
そのため、特に危険な状況ではないにも関わらず、心臓がバクバクしたり、ドキドキしたりといった動悸の症状が現れるのです。

自律神経の乱れと動悸

自律神経は、体の機能を無意識のうちに調整している神経系であり、「交感神経」と「副交感神経」の2つから構成されています。
交感神経は体を活動モードにし、副交感神経は体を休息モードにします。
この二つの神経がバランスを取りながら働くことで、心拍数、血圧、体温、消化、発汗などが適切にコントロールされています。

しかし、慢性的なストレスや不規則な生活、過労などが続くと、この自律神経のバランスが崩れてしまいます。
特に、交感神経が過剰に働き続けたり、本来優位になるべき副交感神経の働きが抑えられたりすることで、「自律神経の乱れ(自律神経失調症)」と呼ばれる状態に陥ることがあります。

自律神経が乱れると、心臓の拍動をコントロールしている神経にも影響が出ます。
本来、心拍数は体の状態に合わせて自動的に調整されるものですが、自律神経のバランスが崩れることで、必要以上に心拍数が上がったり(頻脈)、逆に遅くなったり(徐脈)、不規則になったり(不整脈の一種である期外収縮など)することがあります。

このように、ストレスによる自律神経の乱れは、心臓そのものに病気がない場合でも、動悸として自覚される心拍のリズムや強さの変化を引き起こす主な原因の一つと言えます。

ストレスによる動悸の具体的な症状

ストレスによる動悸は、人によって感じ方や現れる状況が異なります。
どのような動悸がストレス性である可能性が高いのか、具体的な症状を見ていきましょう。

どんな動悸がストレス性か(ドキドキ、バクバク、脈飛びなど)

ストレス性の動悸としてよく挙げられるのは、以下のような感覚です。

  • ドキドキする: 心臓の拍動を強く感じる。心臓が胸の中で暴れているような感覚。
  • バクバクする: ドキドキよりもさらに強く、激しい拍動を感じる。
  • 脈が速い(頻脈): 普段よりも明らかに心拍数が高いと感じる。安静時でも100回/分を超えるような場合。
  • 脈が飛ぶ(期外収縮): 脈が一定のリズムではなく、時々「ドキン」と感じたり、一瞬止まったように感じたりする。これは心臓の正常な拍動の間に余分な拍動が入ることで起こります。
  • 脈が遅い(徐脈):稀ですが、ストレスによって副交感神経が過剰に優位になり、脈がゆっくりになることもあります。

これらの症状は、特定のストレスフルな状況(人前での発表、満員電車、締め切り間際など)で一時的に強く現れることが多いですが、慢性的なストレス下では一日を通して感じたり、突然何の前触れもなく現れたりすることもあります。

一日中続く動悸や寝る前の動悸

ストレス性の動悸は、必ずしもストレスを感じているその瞬間にだけ起こるわけではありません。

  • 一日中続く動悸: 慢性的なストレスや自律神経の乱れが続いている場合、交感神経が常に優位な状態になりやすく、動悸が一日を通して断続的に、あるいは継続的に続くことがあります。「なんとなく心臓がドキドキしている状態が続いている」と感じる場合は、ストレスの影響が大きい可能性があります。
  • 寝る前の動悸: 就寝前は本来、体がリラックスモードになり、副交感神経が優位になる時間帯です。しかし、日中のストレスを引きずっていたり、寝る前にネガティブな考え事をしてしまったりすると、交感神経が優位になってしまい、心拍数が上がって動悸を感じることがあります。「寝ようと横になると心臓の音が気になって眠れない」といった経験がある方もいるでしょう。また、日中に忙しくしている間は動悸に気づきにくく、静かになった夜間に、体のサインとして動悸を感じやすくなるという側面もあります。

動悸以外に見られるストレスサイン(息苦しさ、不安など)

ストレスは動悸だけでなく、さまざまな身体的・精神的な症状として現れます。
動悸と同時に以下の症状がある場合は、ストレス性が強く疑われます。

身体的な症状:

  • 息苦しさ・呼吸困難感: 胸が締め付けられるような感覚、息が吸えない、うまく吐けない感じ。過呼吸になることもあります。
  • 胸痛・胸部圧迫感: 心臓病とは異なる、チクチク、キリキリ、あるいは重苦しい感じ。
  • めまい・ふらつき: 血圧の変動や過呼吸などによって起こります。
  • 頭痛・肩こり・首こり: 筋肉の緊張によって起こります。
  • 胃痛・吐き気・下痢・便秘: 消化器系の機能が影響を受けます。
  • 発汗・冷や汗: 体温調節機能の乱れ。
  • 手の震え・体の震え: 交感神経の興奮によるもの。
  • 疲労感・倦怠感: 体力の消耗や睡眠不足から。
  • 不眠: 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、熟睡できないなど。

精神的な症状:

  • 不安感・心配性: 「何か悪いことが起こるのではないか」といった漠然とした不安。
  • イライラ・怒りっぽい: 感情のコントロールが難しくなる。
  • 集中力の低下: 物事に集中できない、ミスが増える。
  • 物忘れ: 短期的な記憶力の低下。
  • ゆううつ感・無気力: 楽しいと感じられなくなる。
  • 過度の緊張: リラックスできない状態が続く。

これらの症状は、一つだけでなく複数が同時に現れることも多く、動悸と併発することで、さらに不安を強めてしまう悪循環に陥ることもあります。

ストレス動悸のその場での対処法

突然動悸が始まったときや、動悸が気になって落ち着かないときに、その場で試せる対処法を知っておくと、不安を和らげ、症状を落ち着かせるのに役立ちます。

動悸を落ち着かせる即効性のある方法(深呼吸、体勢、ストレッチ)

  • 深呼吸(腹式呼吸): 最も手軽で効果的な方法の一つです。
    1. 楽な姿勢で座るか横になります。
    2. 片手をお腹に当てます。
    3. 鼻からゆっくりと息を吸い込み、お腹が膨らむのを感じます。(約3~5秒かけて)
    4. 口をすぼめて、吸うときの倍くらいの時間をかけてゆっくりと息を吐き出します。(約5~10秒かけて)
    5. これを数回繰り返します。

    ゆっくりとした深い呼吸は、副交感神経を刺激し、心拍数や血圧を落ち着かせる効果が期待できます。

  • 体勢を変える:
    • 横になる: 可能であれば、静かな場所で横になりましょう。特に、左側を下にして横になると、心臓への負担が減ると言われることがあります(ただし医学的に確立された方法ではありませんが、楽に感じる人もいます)。
    • 座る: 立っているよりも座る方が体が安定し、リラックスしやすくなります。
    • 前かがみになる: 座った状態で、上半身をゆっくり前に倒し、腕をだらりと下ろす体勢もリラックス効果が期待できます。
  • 軽いストレッチ: 首や肩の周りの筋肉をゆっくりと回したり伸ばしたりする軽いストレッチは、体の緊張を和らげ、リラックス効果をもたらします。深呼吸と併せて行うとより効果的です。
  • 冷たい水を飲む: 冷たい水をゆっくりと飲むことも、一部の人には効果があると言われています。リラックス効果や、過呼吸気味の場合の症状緩和に役立つことがあります。

これらの方法は、あくまで一時的な症状緩和を目的としたものです。
症状が改善しない場合や、胸痛などの他の症状を伴う場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

動悸や不安を和らげる心理的アプローチ

動悸が起こると、「大丈夫だろうか」「何か悪い病気なのでは」と不安になり、その不安がさらに交感神経を刺激して動悸を悪化させる、という悪循環に陥りがちです。
心理的なアプローチで、この負のサイクルを断ち切ることも大切です。

  • 「これはストレス反応だ」と認識する: 動悸の原因がストレスである可能性を理解することで、過剰な不安を和らげることができます。「病気ではなく、体がストレスに反応しているサインなんだ」と受け止めることが第一歩です。
  • 注意をそらす: 動悸に意識を集中すると、かえって症状が強く感じられます。好きな音楽を聴く、簡単な計算をする、景色を見るなど、意識を別の対象に向けることで、動悸への囚われを減らしましょう。
  • 安心できる行動をとる: ペットと触れ合う、信頼できる人に話を聞いてもらう、好きな飲み物をゆっくり飲むなど、自分が安心できると感じる行動をとりましょう。
  • 肯定的な自己暗示: 「大丈夫、落ち着く」「これは一時的なものだ」など、自分に優しく肯定的な言葉をかけましょう。
  • マインドフルネス: 今ここにある自分の呼吸や体に意識を向け、評価せずにありのままを受け入れる練習は、不安や動悸に冷静に対処する力を養います。短い時間からでも日常的に取り入れると効果的です。

これらの心理的なアプローチは、その場での対処だけでなく、日頃から実践することでストレスへの抵抗力を高めることにも繋がります。

ストレスによる動悸の根本的な解消法

ストレスによる動悸を根本的に解消するには、ストレスそのものへの対処と、ストレスに強い心身を作るための生活習慣の見直しが不可欠です。

ストレス原因の特定と対処

まずは、何が自分にとってのストレス源になっているのかを具体的に把握することが大切です。
仕事、人間関係、経済的な問題、環境の変化など、ストレスの元は様々です。

  • ストレスリストを作成する: ストレスを感じた出来事や状況、それに対してどのように感じたかを書き出してみましょう。客観的に整理することで、共通するパターンや主なストレス源が見えてくることがあります。
  • 対処可能なストレスへのアプローチ: 特定できたストレス源に対し、具体的な解決策を考えて実行します。例えば、仕事量が多いなら上司に相談する、人間関係ならコミュニケーションの取り方を見直すなどです。すぐに解決できない問題でも、専門家(カウンセラーなど)に相談することで、気持ちが楽になったり、新しい視点が得られたりします。
  • 対処困難なストレスとの付き合い方: 性格や過去の出来事など、すぐに変えることが難しいストレス源もあります。その場合は、問題そのものを変えるのではなく、ストレスに対する考え方や受け止め方を変える認知行動療法などのアプローチが有効です。また、「完璧主義をやめる」「NOと言う勇気を持つ」など、自分の行動パターンを変えることも大切です。

生活習慣の改善(睡眠、食事、運動)

規則正しく健康的な生活習慣は、自律神経のバランスを整え、ストレスに強い体を作る土台となります。

  • 睡眠: 十分な睡眠時間を確保し、質を高めることが非常に重要です。毎日同じ時間に寝起きする、寝る前にカフェインやアルコールを控える、寝室を快適な環境にするなど、睡眠衛生に気を配りましょう。睡眠不足は自律神経の乱れを招き、動悸を含む様々な不調の原因となります。
  • 食事: バランスの取れた食事を心がけましょう。
    特に、以下の点に注意が必要です。
    • カフェインやアルコールの摂取を控える: これらは交感神経を刺激し、動悸を誘発・悪化させることがあります。特に症状が強い時期は控えるのが賢明です。
    • ビタミン・ミネラルを豊富に摂る: 自律神経の働きを助けるビタミンB群、カルシウム、マグネシウムなどが豊富な食材を積極的に取り入れましょう。
    • 規則正しい食事: 欠食やまとめ食いは血糖値を急激に変動させ、体に負担をかけます。
  • 運動: 適度な運動はストレス解消に非常に効果的です。また、自律神経のバランスを整える効果も期待できます。
    • 有酸素運動: ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど。無理のない範囲で毎日続けることが大切です。特にリズミカルな運動はセロトニン(精神安定に関わる神経伝達物質)の分泌を促すとも言われています。
    • ストレッチやヨガ: 体の緊張をほぐし、深い呼吸を意識することでリラクゼーション効果が高まります。
    • 運動強度: 激しすぎる運動はかえって体に負担をかけ、動悸を誘発することもあるため、心地よいと感じる程度の強度で行いましょう。

リラクゼーションを取り入れる

意識的にリラックスする時間を作ることは、心身にかかる負担を軽減し、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。

  • 温かいお風呂: 湯船にゆっくり浸かることで、体の緊張がほぐれ、副交感神経が優位になりやすくなります。アロマオイルなどを加えるのも良いでしょう。
  • 音楽療法: 自分が心地よいと感じる音楽を聴くことで、リラックス効果が得られます。
  • アロマセラピー: ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果があると言われる香りを活用します。
  • 筋弛緩法: 体の各部分に順番に力を入れ、一気に力を抜く、というのを繰り返すことで、体の緊張状態とリラックス状態を意識的に感じ、リラックスを深める技法です。
  • メディテーション(瞑想): 静かな場所で座り、呼吸や体の感覚に意識を集中することで、心のざわつきを鎮め、リラックス効果を得る方法です。短い時間でも毎日続けることが効果的です。

これらのリラクゼーション法を日常生活に習慣として取り入れることで、ストレス耐性を高め、動悸の頻度や強度を減らすことが期待できます。

ストレス動悸以外の原因

動悸の原因はストレスだけではありません。
中には、専門的な治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
ストレス以外の主な原因を知っておくことは、適切なタイミングで医療機関を受診するために重要です。

心臓病の可能性

動悸は心臓の異常のサインであることがあります。
特に注意が必要な心臓病には以下のようなものがあります。

  • 不整脈: 心臓の拍動のリズムや速さが乱れる病気の総称です。
    期外収縮(脈が飛ぶ)、頻脈(脈が速すぎる)、徐脈(脈が遅すぎる)など、様々なタイプがあります。
    ストレスが不整脈を誘発・悪化させることもありますが、不整脈そのものが心臓の器質的な異常(心筋や弁の病気など)や電気信号の異常によって起こっている場合もあります。
  • 狭心症・心筋梗塞: 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心臓が必要とする酸素や栄養が不足することで起こる病気です。
    典型的な症状は胸痛や圧迫感ですが、動悸を伴うこともあります。
    特に労作時(運動や階段昇降など)に症状が出るのが特徴ですが、安静時や夜間に起こることもあります。
  • 心不全: 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態です。
    動悸、息切れ、むくみ、疲労感などの症状が現れます。

これらの心臓病による動悸は、生命に関わる可能性があるため、見逃さないことが重要です。

その他の疾患や要因(更年期、薬など)

心臓病以外にも、動悸を引き起こす様々な原因があります。

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など): 甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
    新陳代謝が異常に活発になり、動悸(頻脈)、手の震え、多汗、体重減少、眼球突出などの症状が現れます。
  • 貧血: 体内の酸素を運ぶヘモグロビンが不足する状態です。
    体が酸素不足を補おうとして心拍数を増やすため、動悸や息切れが起こりやすくなります。
  • 低血糖: 血糖値が異常に低下した状態です。
    交感神経が刺激され、動悸、発汗、手の震え、空腹感、意識障害などが起こります。
    糖尿病の治療中の方に起こりやすいですが、健康な方でも食事を長時間抜いたり、激しい運動をしたりした際に起こることがあります。
  • 更年期障害: 女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下する更年期には、自律神経のバランスが乱れやすくなり、動悸、ほてり、発汗、イライラ、不眠など様々な症状が現れます。
  • パニック障害などの精神疾患: 突然激しい動悸、息苦しさ、めまい、死への恐怖などが襲ってくるパニック発作の症状の一つとして動悸が現れます。
  • 薬の副作用: 一部の薬(気管支拡張薬、甲状腺ホルモン薬、降圧剤の一部、抗うつ薬など)は、副作用として動悸を引き起こすことがあります。
  • カフェイン、アルコール、ニコチン: これらには交感神経を刺激する作用があるため、過剰に摂取すると動悸を誘発・悪化させることがあります。
  • 脱水: 体内の水分や電解質が不足すると、血液量が減り、心臓が拍動を速めて全身に血液を送ろうとするため、動悸が起こることがあります。
  • 発熱: 体温が上がると心拍数が増加するため、動悸を感じることがあります。

このように、動悸の原因は多岐にわたります。
特に初めて経験する動悸や、これまでとは異なる性質の動悸が現れた場合は、自己判断せずに医療機関で相談することが大切です。

動悸の主な原因と特徴を以下の表にまとめました。
あくまで一般的な傾向であり、個別の症状は異なる場合があります。

原因 動悸の特徴 動悸以外の主な症状 受診を検討する目安
ストレス・自律神経失調症 ドキドキ、バクバク、脈飛び。特定の状況や不安時に出やすい。夜間に感じやすい。 息苦しさ、めまい、頭痛、肩こり、胃腸の不調、不眠、不安、イライラなど。 ストレス要因が明らかで、他の症状も伴う場合。セルフケアで改善しない場合。不安感が強い場合。
不整脈 脈が速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、飛ぶ(期外収縮)。規則性が乱れる。 めまい、失神、息切れ、胸部不快感など。症状がないこともある。 脈の乱れが頻繁に起こる。めまいや失神を伴う。健康診断で指摘された。
狭心症・心筋梗塞 動悸を伴うことがある(典型的ではない)。 胸痛、胸部圧迫感、放散痛(肩、顎、腕など)。労作時に出やすい(狭心症)、安静時にも起こりうる(心筋梗塞)。息切れ。 胸痛や圧迫感を伴う動悸。労作時に症状が出る。冷や汗や吐き気を伴う激しい症状。→ 救急受診を検討
甲状腺機能亢進症 安静時でも脈が速い(頻脈)。 手の震え、多汗、体重減少、倦怠感、眼球突出、暑がり。 脈が常に速い状態が続く。他の甲状腺関連の症状がある。
貧血 労作時や階段昇降時などに動悸や息切れを感じやすい。 疲労感、倦怠感、顔色が悪い、めまい、立ちくらみ。 常に体がだるい。めまいが頻繁に起こる。
低血糖 急に始まる激しい動悸。 発汗、手の震え、空腹感、めまい、意識障害。 糖尿病治療中の方。食事を長時間抜いた後などに症状が出る。
更年期障害 ほてりや発汗と同時に起こりやすい。 ほてり、発汗、肩こり、腰痛、イライラ、不眠、ゆううつ感など。 更年期(40代後半〜50代前半)にあてはまり、他の更年期症状も伴う場合。
パニック障害 突然始まる激しい動悸。 息苦しさ、めまい、手の震え、吐き気、死への恐怖、気が狂う恐怖。パニック発作として起こる。 突然の強い動悸や不安発作を繰り返す。日常生活に支障が出ている。
薬剤性 服用開始後に動悸が現れた。 薬の種類によって異なる。 特定の薬を服用後に動悸が出始めた。

ストレス動悸で病院に行くべき目安

多くのストレス性動悸は、心臓そのものに異常があるわけではありませんが、症状が辛い場合や不安が強い場合は、一度医療機関で相談することをお勧めします。
特に、以下のような場合は、速やかに受診を検討してください。

緊急性の高い危険なサイン(胸痛、意識消失など)

以下の症状は、心臓病など、迅速な対応が必要な状態のサインである可能性があります。
これらの症状が動悸と同時に、あるいは動悸に関わらず現れた場合は、迷わず救急車を呼ぶか、速やかに医療機関を受診してください。

  • 強い胸痛や胸部の締め付け感: 特に、運動や労作時に始まり、安静にしても改善しない場合。左肩、顎、背中などに痛みが広がる場合。
  • 呼吸困難や強い息切れ: 少し動いただけでも息が切れる、横になると息苦しい、ゼーゼーするなどの症状。
  • 意識が遠くなる、失神: 脈が非常に遅い、あるいは速すぎるなど、重い不整脈の可能性があります。
  • 冷や汗や吐き気を伴う激しい動悸: 特に、胸痛や息切れを同時に伴う場合。
  • 脈が異常に遅い(40回/分未満)または速い(120回/分以上)状態が続く場合。
  • これまで経験したことのない、突然の非常に強い動悸。

受診を検討すべき症状や期間(脈拍数、継続期間)

緊急性は高くないものの、医療機関で相談した方が良いケースは以下の通りです。

  • 動悸が日常生活に支障をきたしている: 動悸が不安で外出できない、仕事に集中できない、夜眠れないなど。
  • 動悸が頻繁に起こる、または長く続く: 数日経っても症状が改善しない、あるいは悪化している。
  • 動悸だけでなく、他の不調(めまい、だるさ、不眠など)も続いている。
  • 脈が不規則だと感じることが多い。
  • 動悸の原因がストレスかどうか分からず、不安が強い。
  • 健康診断などで心電図異常を指摘されたことがある。
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症など、心臓病のリスクとなる持病がある。

特に、動悸の症状だけでストレス性だと自己判断せず、一度は医師に相談して、心臓病などの器質的な異常がないか確認してもらうことが推奨されます。
医師による診察や検査(心電図、採血、必要に応じて心臓超音波検査など)で、動悸の正確な原因を特定することが、適切な対処に繋がります。

何科を受診すべきか

動悸で病院を受診する場合、まずは以下の科を検討しましょう。

  • 循環器内科: 動悸の最も一般的な原因である心臓の病気(不整脈、狭心症など)を専門とする科です。
    まずは心臓に異常がないか確認したい場合に最適です。
  • 心療内科・精神科: ストレスや不安、パニック障害など、精神的な要因による動悸が強く疑われる場合に適しています。
    ただし、まずは循環器内科で心臓の病気がないことを確認してから受診するのが一般的です。
  • かかりつけ医(内科): 普段から診てもらっている医師がいる場合は、まずはかかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
    症状を聞いた上で、適切な専門医を紹介してもらえます。
    甲状腺の病気や貧血など、内科的な病気が原因の場合もあります。

症状や不安の度合いに応じて、適切な科を選択してください。
もし判断に迷う場合は、まずは循環器内科を受診するのが安心でしょう。

動悸の症状チェックリスト

あなたの動悸がストレスによるものか、あるいは他の原因の可能性があるかを知るためのセルフチェックリストです。
当てはまる項目が多いほど、ストレス性の可能性や受診の必要性が高まる可能性があります。

以下の項目に、過去数週間または数ヶ月のあなたの状態を正直にチェックしてみてください。(複数選択可)

項目 はい いいえ
最近、仕事や人間関係などで強いストレスや悩みを感じていますか?
動悸は、特定のストレスフルな状況や不安を感じたときに起こりやすいですか?
動悸は、安静時や夜間、特に寝ようとした時に起こりやすいですか?
動悸以外に、息苦しさ、めまい、頭痛、胃痛などを伴うことがありますか?
普段から、心配性だったり、イライラしたりしやすいですか?
十分な睡眠がとれていない、あるいは睡眠の質が悪いと感じますか?
カフェインやアルコールを比較的多く摂取しますか?
体重が最近急に減りましたか?
首のあたりが腫れている、あるいは眼球が出ていると感じますか?
立ちくらみやめまいを頻繁に感じますか?
突然、強い動悸とともに、死への恐怖や息ができない感覚に襲われたことがありますか?
胸の真ん中あたりが締め付けられるように痛むことがありますか?
少し体を動かしただけで、強い動悸や息切れがしますか?
脈が飛んだり、非常に遅い(40回/分未満)または速い(120回/分以上)と感じることがありますか?
過去に心臓の病気や不整脈を指摘されたことがありますか?

チェック結果の解釈:

  • 「最近、強いストレス」にチェックがあり、かつ「特定の状況で起こりやすい」「夜間に起こりやすい」「動悸以外のストレスサインを伴う」などの項目にチェックが多い場合:ストレス性の動悸の可能性が高いと考えられます。その場での対処法や根本的な解消法を試み、改善が見られない場合は医療機関に相談しましょう。
  • 「体重減少」「首の腫れ」など、甲状腺の症状にチェックがある場合:甲状腺機能亢進症の可能性があります。内科または内分泌内科を受診しましょう。
  • 「立ちくらみ」「めまい」などにチェックが多い場合:貧血や起立性調節障害、不整脈などの可能性があります。内科または循環器内科を受診しましょう。
  • 「突然、強い動悸とともに恐怖感」にチェックがある場合:パニック障害などの可能性があります。精神科または心療内科を受診しましょう。
  • 「胸の痛み」「少し動いただけで強い動悸や息切れ」「脈の異常」「過去の病歴」などの項目に一つでもチェックがある場合:心臓病など、他の病気の可能性も考えられます。速やかに循環器内科を受診し、正確な診断を受けてください。

このチェックリストはあくまで自己判断の参考としてください。
気になる症状がある場合は、必ず医療機関で専門医の診断を受けるようにしましょう。

動悸ストレスに関するよくある質問

ストレスで動悸がする時、どうしたら落ち着きますか?

ストレスによる動悸は、不安を感じるとさらに悪化しやすい特徴があります。
その場で動悸を落ち着かせるには、まず「これはストレス反応だ」と冷静に認識することが第一歩です。

具体的な対処法としては、以下の方法が有効です。

  1. 深呼吸をする: 鼻からゆっくり息を吸い込み、口をすぼめて、吸うときの倍くらいの時間をかけて静かに吐き出します。数回繰り返すと、副交感神経が刺激されて心拍数が落ち着きやすくなります。
  2. 楽な体勢になる: 座るか横になり、体の緊張を和らげます。可能であれば、静かな場所でリラックスできる姿勢をとりましょう。
  3. 注意をそらす: 動悸に意識を集中するのではなく、好きな音楽を聴く、軽いストレッチをする、別のことを考えるなど、意識を別の対象に向けることで、動悸への囚われから解放されます。
  4. 安心できる行動をとる: 温かい飲み物を飲む、リラックスできる香りを嗅ぐ、信頼できる人に電話するなど、自分が心地よいと感じる行動をとります。

これらの対処法は一時的な症状緩和に役立ちますが、頻繁に起こる場合や症状が強い場合は、医療機関で相談し、原因を特定することが重要です。

ストレスが限界に達した時に出る症状は?

ストレスが限界に達すると、心身に様々な警告サインが現れます。
動悸もその一つですが、他にも以下のような症状が出やすいです。

身体的な症状:

  • 強い疲労感や倦怠感(朝起きられないなど)
  • 全身の筋肉の痛みやこわばり
  • 頭痛、肩こり、腰痛の悪化
  • 胃痛や吐き気、食欲不振または過食
  • 下痢や便秘といった便通異常
  • めまいや立ちくらみ
  • 息苦しさや過呼吸
  • 皮膚のかゆみや湿疹、じんましん
  • 発汗異常(多汗または無汗)
  • 頻尿
  • 不眠(寝つきが悪い、中途覚醒、早朝覚醒)

精神的な症状:

  • 強い不安感や焦燥感
  • パニック発作
  • イライラや怒りやすさの増加
  • ゆううつ感や涙もろさ
  • 集中力や判断力の著しい低下
  • 物忘れが増える
  • 無気力感、何もする気が起きない
  • 引きこもりがちになる
  • 人との関わりを避けるようになる

これらの症状が複数現れたり、症状が重く日常生活を送るのが困難になったりしている場合は、ストレスが限界に達しているサインと考えられます。
早めに休息をとる、信頼できる人に相談する、専門家(医師、カウンセラー)のサポートを受けるなどの対応が必要です。

ストレスによる動悸はどんな感じ?

ストレスによる動悸の感じ方は個人差がありますが、一般的には以下のような特徴が挙げられます。

  • ドキドキ、バクバクといった拍動を強く感じる: 心臓が大きく打っている、胸の中で脈打っているのがはっきりとわかる、といった感覚です。
  • 脈が速い(頻脈)と感じる: 通常よりも心拍数が高いと感じます。安静時でも脈が速い状態が続くことがあります。
  • 脈が飛ぶ(期外収縮)と感じる: 脈が一定のリズムではなく、一瞬止まったように感じたり、「ドキン」と強く感じたりする不規則な拍動です。
  • 特定の状況で起こりやすい: ストレスがかかる状況、緊張する場面、不安を感じる場所(満員電車、閉鎖空間など)で症状が出やすい傾向があります。
  • 夜間や安静時に感じやすい: 日中は忙しくて気にならないのに、静かになった夜間や、リラックスしようとした時に症状が気になることがあります。
  • 他のストレス症状を伴うことが多い: 動悸だけでなく、息苦しさ、めまい、手の震え、発汗、不安感、不眠などを同時に伴うことがよくあります。
  • 検査では異常が見られないことが多い: 病院で心電図などの検査を受けても、動悸を感じていない安静時の検査では異常が見つからないことがあります(24時間心電図などで捉えられる場合もあります)。

ただし、これらの特徴に当てはまる場合でも、必ずしもストレス性とは断定できません。
他の原因による動悸でも似たような症状が現れることがあるため、自己判断はせず、気になる症状がある場合は医療機関で相談することが大切です。

動悸は何日続いたら病院?

動悸が何日続いたら病院に行くべきか、明確な基準があるわけではありません。
しかし、以下の場合は医療機関を受診することを強く推奨します。

  • 初めて動悸を感じた場合: これまで経験したことのない動悸が現れた場合、念のため心臓などに異常がないか確認しておくと安心です。
  • 症状が続く、あるいは悪化する場合: 数日経っても動悸が収まらない、あるいは症状がどんどん強くなっている場合は、自己判断せず受診しましょう。
  • 他の症状(胸痛、息苦しさ、めまい、失神など)を伴う場合: これらの症状は、心臓病など重い病気のサインである可能性があります。速やかに受診してください。
  • 動悸が不安で、日常生活に支障が出ている場合: 症状自体が軽度でも、動悸による不安が強く、外出や仕事、睡眠などに影響が出ている場合は、精神的なケアや、必要に応じて薬物療法などのサポートを受けることで改善が見込めます。
  • 症状が数週間〜数ヶ月にわたって継続的に、または断続的に現れている場合: 慢性的なストレスや自律神経の乱れが背景にある可能性が高いですが、他の原因が隠れていることもあります。一度専門家(循環器内科や心療内科など)に相談し、適切な診断とアドバイスをもらいましょう。

たとえ数時間で収まる動悸であっても、繰り返し起こる場合や、強い不安を伴う場合は、医療機関での相談を検討することをお勧めします。
「動悸=怖い病気」とは限りませんが、安心するためにも、適切な診断を受けることが大切です。

【まとめ】動悸の原因は様々。ストレス性も多いが、まずは病院で相談を

動悸は、心臓がドキドキしたり、バクバクしたり、あるいは脈が飛んだりする感覚であり、ストレスによる自律神経の乱れが大きな原因の一つとなり得ます。
慢性的なストレスや不安は交感神経を優位にし、心拍数を上昇させることで動悸を引き起こします。
特に、一日中続いたり、夜間や安静時に気になったりする動悸は、ストレス性の可能性が考えられます。

しかし、動悸の原因はストレスだけではなく、不整脈、狭心症、心不全といった心臓病、甲状腺機能亢進症、貧血、パニック障害、薬剤の副作用など、多岐にわたります。
中には緊急性の高い病気が隠れていることもあるため、「動悸=ストレス」と自己判断することは危険です。

もし動悸の症状が現れたら、まずはその場でできる深呼吸やリラックス法を試み、症状が落ち着くか観察しましょう。
しかし、強い胸痛や息苦しさ、意識の低下などを伴う場合は、ためらわずに救急医療機関を受診してください。

緊急性が高くない場合でも、動悸が頻繁に起こる、長く続く、他の不調を伴う、あるいは不安が強い場合は、医療機関で相談することをお勧めします。
循環器内科で心臓に異常がないか確認してもらい、問題がなければ心療内科や精神科、あるいはかかりつけの内科医に相談すると良いでしょう。

適切な診断を受けることで、動悸の原因が特定され、それぞれの原因に応じた対処法や治療を行うことができます。
ストレス性の動悸であれば、ストレス管理の方法を学び、生活習慣を見直し、リラクゼーションを取り入れることで症状を改善できる可能性があります。

動悸に悩む方は、一人で抱え込まず、まずは専門家である医師に相談し、安心と解決への第一歩を踏み出してください。

免責事項:
本記事は情報提供を目的としており、病気の診断や治療を推奨するものではありません。
個々の症状については、必ず医師の診察を受けてください。
本記事の情報に基づいて行われた行為によって生じたあらゆる結果について、当方は一切の責任を負いません。

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