頭痛に悩まされている方の中には、脈打つような頭痛の症状がある方もいるのではないでしょうか。ただ痛いだけの頭痛とは違って、不安を覚えますよね。
この脈うつ頭痛は、片頭痛の症状の一つでもあれば、脳出血など重い病気である場合もあります。
今回は、脈打つ頭痛の症状、メカニズム、前兆、治療・改善法などについて解説していきます。
こめかみのズキズキと脈打つ頭痛は片頭痛かも
片頭痛は、ズキズキとした拍動性の痛みが生じるのが特徴です。 主に頭の片側か両側にかけて痛み、4時間~72時間ほど続きます。
片頭痛が起こる原因は、まだ完全には解明されていません。脳の血管、中枢神経、三叉神経血管などに何らかの原因があるという説があります。
日本人の片頭痛の有病率は8.4%。男性は3.6%、女性は12.9%で、女性に多くみられる疾患です。
片頭痛の症状とは
自分の症状が当てはまるかチェック
1回の片頭痛発作につき、継続する時間は4~72時間。薬を飲まないで30分でおさまる場合や、治ることなく4日以上続く場合は、片頭痛ではないと考えられます。
また、発作の頻度は人によって様々。年に数回、月1回、週に何日も、などのケースがあります。環境や生活習慣などで変わってきます。
片頭痛の原因は解明されていない
偏頭痛持ちの人の特徴はある?
片頭痛が起こる原因は、まだ完全には解明されていません。原因や発生のメカニズムには諸説あり、以前は、脳の血管が収縮と拡張を繰り返して起こると考えられていました。
しかし、最近では中枢神経に何らかの原因があるという神経説や、三叉神経血管説があります。
神経説は、脳の片頭痛を起こす場所が刺激されて発症するというもの。
三叉神経血管説は、何らかのきっかけで三叉神経が刺激され、脳硬膜の血管まわりに炎症が起こり、その刺激によって頭痛が起こるというものです。
片頭痛が起きるきっかけはストレスや睡眠不足!?
片頭痛は、日常生活のさまざまな要素が引き金となって発生するといわれています。
例えば、ストレス、寝過ぎや寝不足、月経など女性ホルモンの変化、天候や気圧の変化、空腹や脱水、肩こり、アルコール、カフェインなど。きっかけになるものは非常に様々です。
片頭痛は前兆がある場合とない場合がある
片頭痛は、痛みが起こる直前に、前兆がある場合とない場合があります。
前兆がある場合の症状は、キラキラした光などが見える視覚性の症状、感覚が鈍くなるなどの感覚性の症状、言葉が出にくくなるなどの言語症状などです。
視覚症状
片頭痛の前兆として、視界にキラキラとした光が広がる閃輝暗点という視覚症状が起こることがあります。
閃輝暗点は頭痛が始まる前に発症し、5~60分続いたあと徐々に消えていき、その後すぐに頭痛が始まるとされています。
感覚症状
感覚が鈍くなったり、体がチクチクする感じが顔や舌などにも波及していく感覚を、感覚症状といいます。片頭痛の前兆の一つです。
前兆がない場合でも予兆を感じることはある
・だるい
・イライラする
・集中できない
・食欲が通常以上に出る
・体のむくみ
・肩こり
・眠気
漠然とした頭痛の予感や、眠気、気分の変化などは、前兆ではなく予兆といいます。
意識しなければ気がつかなかったり、「今日はなんだか変だな」という程度で捉えられてる場合が多いです。
片頭痛は一時性頭痛
他の頭痛との違いを比較
基礎疾患がないなど原因が不明の頭痛は、片頭痛のほかに2種類あります。緊張型頭痛と群発頭痛で、上記の通りそれぞれ特徴が異なります。
緊張型頭痛
緊張型頭痛は、我慢できないほどではないにぶい痛みが特徴です。発生する原因は、身体的・精神的なストレスが関係していると考えられています。
身体的なストレスの場合、無理な姿勢を続けたり、長時間のパソコンの使用などによって起こります。筋肉が緊張し、血流が悪くなるためです。
精神的なストレスの場合、精神的な緊張状態が長期間続くと起こります。脳の痛みを調整する部位が機能不全を起こし、その結果頭痛を引き起こしてしまうのです。
群発頭痛
群発頭痛は、目の周り~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が特徴で、数週~数ヵ月間、群発します。
睡眠中に起こりやすく、眼の充血や流涙、鼻づまり、縮瞳や眼瞼下垂などの症状を伴うことが多くみられます。
【補足】立ち上がると頭痛が起きる原因は起立性調節障害かも
起立性調節障害は、自律神経の働きが悪くなることを原因として、起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
症状は、朝なかなか起きられない、朝の食欲不振、全身倦怠感、頭痛、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみなど。午前中に強く、午後からは回復することが多いです。
治すためには、運動、十分な水分摂取、睡眠リズムを整える、の3つの継続が大切です。薬物療法もありますので、医師に相談してみるのが安心ですね。
片頭痛の治療法とは
一瞬で治す方法はある?
偏頭痛を一瞬で治す方法はありません。薬を飲むか、安静にすることが有効です。
痛み止めを飲むタイミングは、頭痛がまだ軽い段階か、発症から1時間ぐらいまでが効果的です。
痛み止めの使用は、月10日程度しましょう。それ以上飲んでいる人は、病院を受診することをおすすめします。
片頭痛治療で処方される発作治療薬とは
片頭痛の治療のために処方される薬は、主に5種類に分けられます。医療機関を受診し、自分の症状に合ったものを飲みましょう。
非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬は、バファリン、イブ、ロキソニンなど市販されているものも多く、聞いたことがある方も多いでしょう。
軽度〜中等度の頭痛にはアスピリン,ナプロキセンなどの薬が効果があるとされています。
トリプタン製剤
トリプタン製剤は、スマトリプタンなど片頭痛や群発頭痛に効果がある薬です。
神経伝達に関わるセロトニン受容体に働いて、血管の収縮や拡張を促す物質の放出を抑制したりします。
現在、トリプタン系薬剤は5種類あり、錠剤、注射薬、点鼻液などの剤型があります。
レイボー®
レイボーは、片頭痛の原因となる物質の放出を抑えて痛みを消失させる薬。頭痛消失効果が40.6%、頭痛改善が78.2%という結果も出ています。
服用するタイミングにはあまり影響されませんが、片頭痛になり始めたら、早めに服用しましょう。
エルゴタミン製剤
エルゴタミン製剤は、主成分のエルゴタミンが、発作時の血管の拡張を抑える薬。
悪心・嘔吐を来しやすい、頭痛が起こってからでは効果が薄いといった特徴があります。
しかし、効果の持続時間が長い、長期間使用しても効果が低下しにくいといった特徴も。
発作時間が48時間以上・頭痛が再発したなどの場合に、トリプタン製剤よりもエルゴタミン製剤の方が効果があるといわれています。
漢方薬
呉茱萸湯は片頭痛、緊張型頭痛、桂枝人参湯は片頭痛と緊張型頭痛、釣藤散は片頭痛と緊張型頭痛、葛根湯は緊張型頭痛、五苓散は血液透析に伴う頭痛に有効とされています。
中でも、特に有名なのは、五苓散と呉茱萸湯です。西洋医学が合わないという方は、ぜひ試してみてください。
治療薬だけでなく生活習慣も見直し
片頭痛を予防する
・規則正しい生活
・自分に適正な睡眠時間
・ストレスをためない
・適度な運動
片頭痛の改善には、生活習慣の改善も大切です。医療機関では、薬の処方はもちろん、生活上の指導も行ってくれます。
頭痛を早く治したい方は、まずは病院に行ってみるといいでしょう。
放置してはいけない脈打つ頭痛もある
命にかかわる二次性頭痛とは
頭痛には、脳に異常がない一次性頭痛と、脳に異常がある二次性頭痛の2種類があります。
二次性頭痛の場合、これまでに経験がないようなひどい痛み、ドクンドクンと脈打つような痛み、短時間で痛みがピークに達する、熱がある、手足の麻痺やしびれを伴うなどの症状があります。
くも膜下出血など重い病気の可能性もあり、注意が必要です。すぐに病院を受診しましょう。
・体の片側や手足などに力が入らない
・言葉が出にくい、呂律が回らない
・ものが二重に見える
・めまい
・まっすぐ歩けない
くも膜下出血
くも膜は、脳の表面や隙間を覆う、くもの巣のような膜。脳の太い血管が破裂してくも膜の下に血液がたまった状態が、くも膜下出血です。
発症すると、突然激しい頭痛が起こり、吐き気や嘔吐、意識障害をともなうことも。すぐに処置を受けないと、再出血を起こして重い後遺症が残ったり、亡くなる可能性もあります。
前兆症状は血圧の激しい上昇と下降で、さまざまな強さの頭痛も起こります。
脳出血
脳出血は、脳内の細い血管が破れ、出血している状態です。突然頭痛が起こり、徐々に痛みが強くなり、言葉が出にくい、手足などが痺れたり動かしにくい、吐き気、めまいなどを伴います。
頭痛が出ない場合もあるので、このような症状が出た場合はすぐに受診してください。
脳腫瘍
脳腫瘍は、脳に腫瘍ができている状態です。数週間から数ヶ月かけて腫瘍が大きくなり、合わせて頭痛も強くなっていきます。
腫瘍ができた場所によって、症状は様々。手足の麻痺、視力障害、言葉が出にくい、言葉が理解できないなどが現れることもあります。
進行してからでは治療が難しいケースがあるため、頭部MRI検査による早期発見が大切です。
脈打つ頭痛は片頭痛ではない場合もある
気になるときはすぐ受診を!
片頭痛は生活習慣を改善することで、発症を防げる場合があります。生活を見直し、変えらるところから変えていきましょう。
また、片頭痛だと思っていたら重い病気だという場合もあります。脈打つ頭痛がよく起こる人は、「またいつもの頭痛か」とそのままにせず、すぐに病院を受診しましょう。
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