目の奥が痛む頭痛は、日常生活において非常に不快な症状の一つです。この種の頭痛は、単に疲れ目からくるものである場合もあれば、より深刻な健康問題の兆候である可能性もあります。
ストレス、長時間の画面の見過ぎ、ホルモンの不均衡など、生活習慣に関連する要因が原因であることが多いですが、群発頭痛や急性閉塞隅角緑内障、視神経炎など、隠れた病気が原因かもしれません。
本記事では、目の奥が痛い頭痛の一般的な原因と、自分でできる簡単な対処法について解説します。痛みを和らげるために生活習慣の改善ポイントも紹介するので、頭痛に悩まされている方はぜひ参考にしてください。
三叉神経は首から上の部分の痛みを脳に伝える主要な神経の一つで、脳から出た後3つの枝に分かれて顔面に広がっています。
この神経は顔の触覚、痛み、温度感覚を脳に伝える役割を持ち、また咀嚼(そしゃく)の動きを制御する筋肉を動かす機能も担っているのが特徴です。
特に目の奥の痛みを感じる際には、三叉神経の1本目の枝(眼神経)がその情報を脳に伝えていることになります。この神経の機能障害は、顔面の痛みや感覚異常を引き起こす可能性があり、三叉神経痛という症状につながることも。
頭痛を伴う目の奥の痛みの治し方を紹介
頭痛を伴う目の痛みは自分で改善できることがあります。また、日常生活で取り入れたいマッサージやツボなどをご紹介します。また市販薬や医療機関での治療法も解説しているので参考にしてください。
自分で治す方法
目の奥の痛みは、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用など、日常生活の中で起こりやすい症状です。
頭痛に対して自分で対処する方法としては簡単なマッサージやつぼ押しの方法が挙げられます。
マッサージ方法
目の周りを優しくマッサージすることで、目の奥の痛みや疲れを和らげられます。指の腹を使って、目の周りをゆっくりと円を描くようにマッサージしましょう。
数回繰り返すとさらに効果的です。また目の疲れなら手のひらで温めるようにしてください。
つぼ押し方法
「攅竹(さんちく)」というつぼは、眉の始まりの部分にあり、眼精疲労や目の奥の痛みに効果的です。このつぼを優しく押すことで、痛みや疲れを和らげられます。
その他にも以下のツボを押すのが効果的です。
- 睛明(せいめい)・・・目頭と鼻の付け根の間に位置する
- 承泣(しょうきゅう)・・・黒目の真下のくぼみに位置する
- 魚腰(ぎょよう)・・・眉の中央あたりに位置する
市販薬に頼る
市販薬には、さまざまな種類があります。例えば痛みを抑える鎮痛剤、肩こりや眼精疲労に効くビタミンBを主体とした内服薬、目の渇きに対する目薬など、症状や使いやすさに合わせて選ぶことが大切です。
またビタミンB2は、片頭痛の予防効果があるとされているので、ビタミンB2を主体とする内服薬を選ぶのも良いでしょう。ただし、自分の症状をきちんと理解することが大切です。
ドラッグストアに在職している薬剤師に相談するようにしましょう。
医療機関に受診する
目の奥の痛みは、眼精疲労やVDT症候群(スマートフォンやコンピュータの使用による症状)、視神経炎、眼内の深い部分の炎症、緑内障、角膜炎など、さまざまな原因によって引き起こされることがあります。
これらの状態は場合によっては失明につながる可能性もあるため、適切な治療が必要です。
軽度の場合、病院やクリニックでは主に点眼や内服薬を処方されることがあります。
検査の結果、眼精疲労と診断された場合は、ピントを合わせる筋肉「毛様体筋」の疲労を緩和させるために点眼を処方するのが一般的です。
頭痛と共に目の奥が痛い!
何が原因?
目の奥の痛みを伴う頭痛は、いくつかの病気が原因で起こることがあります。主な原因としては主に4つ挙げられます。
これらの状態は、適切な診断と治療が必要です。ここではそれぞれの特徴を詳しく解説します。
目の奥が痛いのは「眼精疲労」
眼精疲労は、テレビ、パソコン、スマートフォンなど、長時間の画面使用や眼鏡、コンタクトレンズの問題、さらには精神的ストレスからも発生することがあります。
眼精疲労は目だけでなく全身にも症状が出ることがあり、労働環境、全体的な身体状態など、さまざまな要因によって引き起こされます。
目の症状
- 小さな物が見えにくい
- 視界がぼんやりして見える
- 目が乾燥する
- 目が疲れやすい
- 目が重い
全身の症状
- 頭痛
- 肩こり
- 首の痛み
- 全身の疲労感
- めまい
これらの症状が1〜2日続く場合、慢性的な眼精疲労の可能性があります。また、コンピュータビジョン症候群は、眼精疲労と似た症状を共有していますが、首、肩、肘、背中の症状や、指のしびれも含まれます。
眼精疲労を感じたら目を休める時間を確保し、適切な照明を使用することが大切です。
また、定期的に目の運動を行って、ある程度距離をあけて画面を見るように心がけましょう。目の健康を守るためにも、日常生活での注意が重要です。
目の奥が痛いのは「群発頭痛」
群発頭痛は非常に激しい痛みが特徴で、主に目の奥、こめかみ、額の周辺で発生します。この痛みは数週間から数ヶ月にわたって、1日に複数回発生することがあります。
群発頭痛は目の充血、涙、鼻詰まり、落ち着かなさなどの症状を伴うことが多いです。診断基準には、特定の症状と発作の頻度が含まれます。
痛みの特徴
- 激しい痛みが片側の目の奥に集中する
- 痛みは15分から180分続くことがある
- 痛みは「自殺頭痛」とも呼ばれるほど非常に強い
伴う症状
- 目の充血や涙
- 鼻詰まりや鼻水
- 顔面の紅潮
- 落ち着かなさや不安感
群発頭痛は、1000人に1~4人の割合で発生するとされています。主に男性に多く、20~40歳で発症することが多いです。
参考:日本頭痛学会
目の奥が痛いのは「片頭痛」
片頭痛は日本に約1000万人の患者がいるとされ、特に女性に多い病気です。片頭痛は激しい頭痛だけでなく、吐き気、嘔吐、光や音、匂いへの過敏性を伴うことがあり、日常生活や生産性に大きな影響を与えることがあります。
片頭痛の症状は頭部の片側に激しい痛みがあり、ストレスやホルモンの変化、天候の変化などが引き金となることがあります。
症状は4時間から72時間続くことがあり、片頭痛用の薬が効果的ですが他のタイプの頭痛には効かないこともあるので自己判断はしないようにしましょう。
痛みの特徴
- 片側または両側の頭に脈打つような痛み
- 痛みは中程度から重度
伴う症状
- 吐き気や嘔吐
- 光、音、匂いへの過敏性
片頭痛はその症状の重さと生活への影響の大きさから、早期の対処が求められます。もし片頭痛の症状がある場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けることをおすすめします。
目の奥が痛いのは「視神経炎」
視神経炎は、視神経の炎症によって起こる病気で、視力障害を主な症状とします。この病気はまれに多発性硬化症に関連していることがあります。
症状が発症すると急速に進行し、数日から1週間のうちに最高潮に達することが多いです。視神経炎の特徴的な症状には、視力の急激な低下や視野欠損があり、視野の一部が見えなくなることがあります。
また、眼球を動かすことで目の痛みや頭痛を伴うのが特徴です。
視神経炎の主な症状
- 視力の急激な低下
- 視野欠損
- 眼の痛みや頭痛が伴うことがある
視神経炎は視力に重大な影響を及ぼす可能性があるため、目の奥の痛みや視力低下を感じたら、早めに専門医の診察を受けることが大切です。
片目だけ急に痛くなるのは病気?
片目が急に痛くなる原因はさまざまで、すぐ解消する場合や病気の可能性もあります。以下に、片目が急に痛くなる可能性のある病気や状態をいくつか紹介します。
片目の痛みの一般的な原因
急に片目だけ痛くなるのは、物理的な問題や隠れた病気のケースがあるので、原因を突き止めるようにしましょう。
外傷や異物の混入・・・目に異物が入る、または外傷がある
角膜炎・・・紫外線による角膜の炎症や、不適切なコンタクトレンズの使用
結膜炎・・・目の表面の炎症、アレルギーや感染が原因で起こる
視神経炎・・・目を動かすと痛みを感じることがある
急性緑内障・・・目の圧力が急激に上昇し、強い痛みや吐き気を引き起こす
逆さまつ毛・・・まつ毛が目の中に入っている状態
片目が急に痛くなる症状を、軽視せずに対処する必要があります。特に痛みが強い場合や、視力に変化がある場合は、速やかに眼科医の診察を受けることをおすすめします。
目の奥の痛みを予防する対処法
目の奥の痛みの原因を作らないためにも、日頃からできる対策をしましょう。以下では気をつけたいポイントをまとめました。
パソコンを長時間使用しない
パソコンやスマートフォンなどのデバイスを長時間使用して目を酷使しないことが大切です。とはいえ、仕事でパソコンを使用しなくてはならない場合もあるでしょう。
パソコンを使用する際には、画面を見たときに視線がやや下向きになるように作業環境を整えます。画面の明るさやコントラストも調整して目に優しくなるようにすることが大切です。
作業中は1時間作業したら15分休憩を取ることで眼精疲労を予防できます。またブルーライトカットの眼鏡をかけたり、画面にシートを貼ったりするのがおすすめです。
使い捨てコンタクトレンズを正しく着用する
使い捨てコンタクトレンズは便利ですが、正しく使用しないと目の奥が痛むなどのトラブルが発生する可能性があります。正しい使用方法を守り、目の健康を守ることが重要です。
使い捨ての使用期限を守らず、ずっと使用するのはやめましょう。例えば1DAYの場合は1日用として作られており、2日以上使用すると本来持つ性能が低下します。
コンタクトレンズの汚れがアレルギーを引き起こし、上まぶたの内側に大きなぶつぶつができることがあります。これは角膜染色と呼ばれ、角膜が損傷する状態です。
また安全性や耐久性が保証できないため、目の表面が傷ついてしまうことも考えられます。角膜の損傷は細菌や真菌の感染を引き起こし、炎症や角膜組織の損傷につながるため注意しなくてはなりません。
さらにコンタクトレンズを着けたまま寝ると角膜に酸素が行き渡らず、角膜の傷や部分的な剥離を引き起こし、痛みや赤みが生じることがあります。
最悪の場合は失明してしまうこともあるため、必ず用法を守りましょう。
頭痛と目の奥が痛いときの
よくある質問
頭痛に伴う目の奥が痛いときは、さまざまな不安がよぎることもあるでしょう。ここでは目の痛みに関して心配している方のために、いくつかの悩みをまとめました。
目の奥が痛むのはコロナのせい?
新型コロナウイルス感染症患者の81%は感染後2週間以内に眼症状が現れたと研究結果があります。「コロナにかかると味覚がなくなる」とよく言われますが、実はそれ以上に目の痛みを訴えている方が多いようです。
ただしCOVID-19に感染した後、約1ヶ月間目に奥の痛みや頭痛を経験した方はいるものの、神経科医の診察と頭部MRI検査の結果、脳や血管に異常は見られず、コロナ後の合併症ではないと示されています。
参考:東京都医学総合研究所
風邪をひくと目の奥が痛むのはなぜ?
風邪をひいた時に目の奥が痛むのは、主に鼻の骨の周りにある副鼻腔(ふくびくう)という空洞に関連しています。風邪による細菌感染が副鼻腔で増幅されると、頬や目の奥に痛みを引き起こすことがあります。
ドライアイで目の奥が痛くなる?
ドライアイは、涙の質や量の不足により目が乾燥する状態を指します。目の奥の痛みも、ドライアイに関連する症状の一つとして考えられるとされています。
しかし、医学的にはドライアイによって直接目の奥が痛くなることはありません。
目の奥が痛くなるのは副鼻腔炎?
風邪をひいた時に目の奥が痛むのは副鼻腔が原因かもしれません。風邪による細菌感染が副鼻腔で増幅されると、頬や目の奥に痛みを引き起こすことがあるからです。
副鼻腔炎による目の痛みは、鼻詰まりや黄色や緑色の鼻水、頬や目の周りを中心とする痛みなど、他の症状と共に現れるのが特徴です。
副鼻腔炎が目の奥にまで影響を及ぼし、重度の炎症が視神経に影響を与える可能性があります。この場合は耳鼻咽喉科でのX線検査が必要なので、早めに医師による診療を受けることが大切です。
目の奥が痛い頭痛まとめ
目の奥が痛い頭痛には、さまざまな原因が考えられますが、上記で紹介したように自分でできる対処法もあります。
ストレスの軽減、画面使用時間の管理、適切な目のケアを心がけることが大切です。
しかし、症状が続く場合や他の眼疾患が伴う場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。健康な目で快適な毎日を送るために、適切な対策をとりましょう。
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