【不安で眠れない】その原因と対策|今すぐ試せる快眠法と病院の目安

不安で眠れない夜は、心身ともに疲弊し、日中の活動にも影響を及ぼします。「どうして眠れないんだろう」「このまま眠れなかったらどうしよう」といった不安は、さらに眠りを妨げる悪循環を生み出すこともあります。

しかし、不安で眠れない原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。そして、その原因に応じた適切な対処法を知ることで、快眠を取り戻せる可能性は十分にあります。

この記事では、あなたが不安で眠れない主な原因を多角的に解説し、今夜からでも試せる具体的なセルフケアから、継続的な生活習慣の改善策までご紹介します。また、不安や不眠が続く場合に考えられる病気の可能性や、適切な病院を受診する目安についても詳しく解説します。この記事が、あなたが安心して眠りにつくための一歩を踏み出す手助けとなれば幸いです。

なぜ不安で眠れない?主な原因を解説

心理的な要因

心の状態は、睡眠に大きな影響を与えます。
不安感やストレスは、脳を覚醒させてしまい、眠りにつくのを難しくします。

ストレス
日常的なストレスは、自律神経のバランスを崩し、交感神経を優位にさせてしまいます。交感神経が活発になると、心拍数が上がり、筋肉が緊張し、脳が活発に働き続けます。このような状態では、体がリラックスできず、なかなか眠りに入ることができません。仕事の納期、人間関係のトラブル、経済的な問題など、原因は多岐にわたります。ストレスが慢性化すると、常に緊張状態となり、不眠が定着してしまうことがあります。

考えすぎ・心配事
ベッドに入っても、一日の出来事を反芻したり、将来への不安や過去の失敗について考え始めたりすると、脳は休むことができません。「明日の会議がうまくいくだろうか」「あの時、ああ言えばよかった」「将来お金に困らないだろうか」といった考えが次々と頭に浮かび、目が冴えてしまうことがあります。特に、ネガティブな思考は脳を刺激しやすく、リラックスして眠りにつくことを妨げます。

特定の不安(夜になるのが怖いなど)
「夜になると嫌なことを考えてしまう」「眠れないのではないかという不安(睡眠恐怖)」など、特定の状況や時間帯に対する不安も不眠の原因となります。例えば、「夜、一人になるのが怖い」「暗闇が怖い」「静かになるとかえって不安になる」といった感情が、眠りへの抵抗感を生み出します。また、「また眠れないんじゃないか」と、眠ること自体への不安が強くなり、それが現実になってしまう悪循環に陥ることも少なくありません。

身体的な要因

体の不調や病気が、直接的または間接的に睡眠を妨げることがあります。

体の不調・病気
風邪による咳や鼻づまり、花粉症による鼻炎やかゆみ、胃酸の逆流による胸焼け、膀胱炎による頻尿など、様々な体の不調が夜間の安眠を妨げます。また、高血圧や心疾患、呼吸器疾患(喘息、COPDなど)なども、夜間に症状が悪化したり、息苦しさを感じたりすることで眠りを中断させることがあります。ホルモンバランスの変化(更年期など)も不眠の原因となることがあります。

痛みやかゆみ
慢性的な痛み(腰痛、関節痛、頭痛など)や、皮膚のかゆみ(アトピー性皮膚炎、じんましんなど)は、寝ている間も意識を集中させてしまい、深い眠りを妨げます。体勢を変えるたびに痛みを感じたり、かゆみで目が覚めてしまったりすることで、睡眠の質が著しく低下します。

生活習慣・環境要因

日々の生活習慣や寝室の環境も、不安感と結びついて不眠を引き起こすことがあります。

不規則な生活リズム
人間の体内時計は、毎日ほぼ同じ時間に寝起きすることで正常に機能します。しかし、夜勤やシフト勤務、あるいは週末の寝坊などが原因で生活リズムが乱れると、体内時計が狂い、夜になっても眠気を感じにくくなります。これにより、「今日も眠れないかもしれない」という不安が増大し、さらに眠りづらくなることがあります。

寝室の環境(光、音、温度)
寝室の環境は、睡眠の質に直結します。

  • 光: 外からの光、寝室内の照明、スマホやPCのブルーライトなどは、脳を覚醒させてしまいます。特に寝る直前の強い光は、眠りを誘うホルモンであるメラトニンの分泌を抑制します。
  • 音: 外の騒音、同居家族の立てる音、機械音など、予期せぬ音や断続的な音は、入眠を妨げたり、睡眠を浅くしたりします。「またあの音がしたらどうしよう」といった不安感につながることもあります。
  • 温度: 寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、快適な睡眠を得られません。一般的に、睡眠に適した室温は18℃~22℃、湿度は40%~60%程度と言われています。不快な温度は寝苦しさを感じさせ、「早く眠りたいのに」という焦りや不安につながります。

就寝前のカフェイン・アルコール
カフェインには覚醒作用があり、飲んでから数時間(個人差がありますが、最大8時間程度)効果が持続することがあります。就寝前にコーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどを摂取すると、眠りにつくのが難しくなります。
アルコールは、一時的に眠気を誘いますが、分解される過程で睡眠を浅くしたり、夜中に目を覚ましやすくしたりします。また、利尿作用もあり、トイレで起きる原因にもなります。

寝る前のスマホ・PC
スマホやPC、タブレットなどの画面から発せられるブルーライトは、脳を覚醒させ、体内時計を遅らせる働きがあります。寝る直前までこれらのデバイスを使用していると、脳が活動状態になり、眠りにつくのが困難になります。また、SNSやメールのチェック、ニュースなど、刺激的な情報に触れることも不安や興奮を高め、眠りを妨げる原因となります。

病気との関連性

不安や不眠は、それ自体が病気の症状である場合や、他の病気によって引き起こされている場合があります。

不安障害
不安障害は、過剰な不安や心配が持続し、日常生活に支障をきたす精神疾患の総称です。全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害、特定の恐怖症など様々なタイプがあります。不安障害を抱えている人は、常に何かについて心配したり、漠然とした不安を感じたりしているため、夜になっても心が落ち着かず、眠りにつくのが難しいことが多いです。また、不安発作が夜間に起こり、目が覚めてしまうこともあります。

不眠症
不眠症は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難といった睡眠の問題が一定期間(週に3回以上、3ヶ月以上など)続き、日中の活動に支障をきたす病気です。不安やストレスが原因で不眠症になることもあれば、不眠が続くこと自体が新たな不安を生み出し、不眠症を悪化させることもあります。厚生労働省の研究班による「睡眠障害」に関する公式見解でも、心理的ストレスや身体疾患、薬物影響など多角的な要因が不眠症の原因となりうることが指摘されています。特定の原因がない「原発性不眠症」もあります。

その他の精神疾患
うつ病は、気分の落ち込みだけでなく、不眠(特に早朝覚醒)を伴うことが非常に多い病気です。双極性障害では、躁状態の時にほとんど眠らなくても活動できたり、うつ状態の時に過眠になったりします。統合失調症でも、睡眠パターンが乱れることがあります。これらの精神疾患は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れなどが関与しており、専門的な治療が必要です。

その他の身体疾患
先述の体の不調だけでなく、睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする)、レストレスレッグス症候群(寝る前に足に不快な感覚が現れ、動かしたくなる)などの睡眠関連疾患は、直接的に睡眠を妨げます。また、甲状腺機能亢進症(代謝が高まり、イライラや発汗、不眠を引き起こす)、心不全、呼吸器疾患(夜間に咳や息苦しさが増す)など、様々な身体疾患が不眠の原因となることがあります。

このように、不安で眠れない原因は多岐にわたります。自分の状況を冷静に振り返り、何が不眠を引き起こしている可能性があるのか考えてみることが、改善への第一歩となります。

不安で眠れない夜に試したい具体的な対処法

不安で眠れない夜は本当につらいものです。
しかし、今夜からでも試せるセルフケアや、日々の生活習慣を少し変えることで、眠りやすくなる可能性は十分にあります。
ここでは、具体的な対処法を詳しくご紹介します。

【今すぐできる】寝る前のセルフケア

寝る前に心身をリラックスさせることは、スムーズな入眠のために非常に重要です。
今夜から試せる、具体的なセルフケアを取り入れてみましょう。

リラックスできる習慣を取り入れる
寝る前にリラックスする時間を設けることで、脳と体の興奮を鎮めることができます。

深呼吸
ゆっくりとした深呼吸は、副交感神経を優位にし、心拍数を落ち着かせ、リラックス効果をもたらします。

  • 方法例:4-7-8呼吸法
    1. 息を完全に吐き出す。
    2. 鼻から静かに息を吸い込みながら、心の中で4つ数える。
    3. 息を止め、心の中で7つ数える。
    4. 口からゆっくりと、シューッと音を立てながら息を吐き出し、心の中で8つ数える。

    これを数回繰り返します。腹式呼吸(お腹を膨らませながら息を吸い、凹ませながら吐き出す)を意識すると、より効果的です。

ストレッチ
軽いストレッチやヨガは、体の緊張をほぐし、リラックス効果をもたらします。激しい運動はかえって体を覚醒させてしまうので、寝る前はリラックス系のストレッチがおすすめです。首、肩、腰、股関節など、普段凝りやすい部分をゆっくりと伸ばしましょう。ベッドの上でできる簡単なものから始めてみてください。

温かい飲み物
カフェインを含まない温かい飲み物は、体を内側から温め、リラックス効果をもたらします。特におすすめなのは、ホットミルクやカモミールティー、ルイボスティーなどです。ただし、飲みすぎると夜中にトイレで目が覚める原因になるので、量は控えめにしましょう。

思考を整理する
頭の中で考え事がぐるぐる回ってしまう時は、思考を「見える化」したり、意識的にポジティブな方向に向けたりすることが有効です。

書き出し(ジャーナリング)
寝る前に不安なこと、心配なこと、頭の中で考えていることを全て紙に書き出してみましょう。書き出すことで、頭の中が整理され、不安な思考から距離を置くことができます。また、今日あった良かったこと、感謝していることなどを書き出す「感謝ジャーナル」も、ポジティブな気持ちで眠りにつくのに役立ちます。

ポジティブな想像
楽しい思い出や、行ってみたい場所、理想の休日など、心地よいイメージを頭の中で思い描くことも、リラックスして眠りにつく助けになります。好きな音楽を聴きながら、目を閉じて穏やかな風景を想像するなど、自分にとって心地よい方法を見つけてみましょう。

睡眠環境を整える
寝室の環境を快適にすることは、快眠の基本です。

寝室を暗く、静かに、快適な温度に

  • 暗さ: 遮光カーテンを利用するなどして、寝室をできるだけ暗くしましょう。豆電球なども消した方が良いです。
  • 静かさ: 外の騒音が気になる場合は、厚手のカーテンを使ったり、耳栓をしたりすることも有効です。ホワイトノイズや自然音を流すアプリなども試してみる価値があります。
  • 温度: 睡眠に適した温度(18℃~22℃目安)と湿度(40%~60%目安)を保ちましょう。エアコンや加湿器・除湿器などを活用してください。

寝具の見直し
自分に合ったマットレスや枕、肌触りの良い寝具を使うことも、快適な睡眠につながります。古くなった寝具は買い替えを検討するのも良いでしょう。

【日中に意識したい】生活習慣の改善

快眠は、寝る直前の行動だけでなく、日中の過ごし方にも大きく影響されます。
日々の生活習慣を見直すことも、不安を軽減し、質の高い睡眠を得るために重要です。

規則正しい生活リズムを作る
体内時計を整えることは、自然な眠気を誘うために最も重要です。

毎日同じ時間に起きる
休日も平日との差を1~2時間以内にするなど、できるだけ毎日同じ時間に起きるように心がけましょう。起きたらすぐにカーテンを開けて朝日を浴びると、体内時計がリセットされやすくなります。

毎日同じ時間に寝る
毎日同じ時間に眠りにつくように努力することも大切ですが、眠くないのに無理にベッドに入る必要はありません。まずは起床時間を一定にすることから始めましょう。

適度な運動を取り入れる
適度な運動はストレス解消になり、夜には心地よい疲労感をもたらし、入眠を助けます。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動がおすすめです。ただし、激しい運動を就寝直前に行うと、かえって体が興奮して眠りにつくのが難しくなります。運動は、就寝時間の3時間前までに済ませるようにしましょう。

食事・飲酒に注意する
食生活も睡眠に影響を与えます。

就寝前の食事は避ける
寝る直前に食事をすると、消化のために胃腸が活動し、脳や体が休めなくなります。就寝時間の2~3時間前までには食事を済ませるのが理想です。特に、消化の悪いものや刺激物は避けましょう。

カフェイン、アルコール、ニコチンを控える
先述のように、これらは睡眠を妨げる要因となります。午後以降のカフェイン摂取を控える、寝る前のアルコール量を減らす、禁煙を検討するなど、意識的に制限することが大切です。

眠れない時に「焦らない」ための考え方
ベッドに入っても眠れないと、「どうしよう」「また眠れない」と焦りが募り、ますます目が冴えてしまうことがあります。この「眠らなければ」というプレッシャーこそが、不眠を悪化させる大きな要因の一つです。眠れない時に焦らないための具体的な行動を知っておきましょう。

一度布団から出る
20~30分経っても眠れない場合は、思い切って一度布団から出ましょう。眠れないまま布団の中にいると、「布団=眠れない場所」というネガティブな関連付けがされてしまうことがあります。

リラックスできる別の行動をとる
布団から出たら、リラックスできる静かな活動を行います。例えば、

  • 薄暗い照明の下で、退屈なくらいの軽い読書をする(仕事や勉強に関係ない内容)
  • 静かな音楽を聴く
  • 温かいノンカフェインの飲み物を飲む
  • 軽いストレッチをする

スマホやPCの使用は避け、脳を刺激しないように注意しましょう。そして、眠気を感じたら再び布団に戻ります。これを繰り返すことで、「眠れない時は一度布団から出ても大丈夫」という安心感が生まれ、焦りが軽減されることがあります。

これらのセルフケアや生活習慣の改善は、すぐに効果が出なくても、継続することで少しずつ体や心に変化をもたらします。焦らず、できることから一つずつ取り入れてみてください。

不安で眠れない状態が続く…病気の可能性と病院の目安

セルフケアや生活習慣の改善を試しても不安で眠れない状態が続いたり、日中の活動に大きな支障が出ている場合は、何らかの病気が隠れている可能性も考えられます。
この章では、不安や不眠に関連する主な病気と、専門家である病院を受診すべき目安について解説します。

不安や不眠に関連する主な病気

先ほど原因の章でも触れましたが、ここでは改めて病気との関連性を整理します。

不安障害
過剰な不安が持続し、日常生活に影響を及ぼす精神疾患です。全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害などがあります。常に緊張感が伴うため、リラックスして眠りにつくことが難しくなります。

不眠症
睡眠時間の不足や質の低下が続き、日中に倦怠感や集中力の低下などを引き起こす病気です。入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠困難といったタイプがあります。不安が不眠を引き起こすことも、不眠が不安を増大させることもあります。

その他の精神疾患
うつ病、双極性障害、統合失調症など、他の精神疾患も不眠を伴うことが一般的です。これらの疾患では、脳内の神経伝達物質のバランス異常などが関わっているため、専門的な治療が必要です。

その他の身体疾患
睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりする)、レストレスレッグス症候群(寝る前に足に不快な感覚が現れ、動かしたくなる)などの睡眠関連疾患のほか、心疾患、呼吸器疾患、内分泌疾患(甲状腺の病気など)、神経疾患なども不眠の原因となることがあります。痛みやかゆみを伴う皮膚疾患や、夜間に症状が悪化する病気も睡眠を妨げます。

このように、不安で眠れない原因は多岐にわたります。自分の状況を冷静に振り返り、何が不眠を引き起こしている可能性があるのか考えてみることが、改善への第一歩となります。

病院を受診すべき目安

不安で眠れない状態がどの程度続いたら病院を受診すべきか、具体的な目安を知っておくことは重要です。

  • 眠れない日が週に3回以上あり、それが2週間以上続いている
  • 日中の活動(仕事、学業、家事など)に支障が出ている
    • 強い眠気や倦怠感を感じる
    • 集中力や注意力が低下する
    • イライラしたり、気分が落ち込んだりする
    • 体調が優れない(頭痛、胃腸の不調など)
  • 不安感が非常に強く、自分でコントロールできないと感じる
  • 「眠れないのではないか」という不安自体が非常に強い
  • 体の痛みやかゆみ、息苦しさなど、睡眠を妨げる明らかな身体症状がある
  • 市販の睡眠改善薬を試しても効果がない、または悪化する
  • 飲酒量が増えたり、過度に依存したりしている

これらの目安に当てはまる場合は、一人で抱え込まず、専門家である医師に相談することを強くお勧めします。

精神科・心療内科・睡眠外来の違い

不安や不眠で病院を受診しようと考えた時、どの診療科を選べば良いか迷うことがあるかもしれません。
ここでは、精神科、心療内科、睡眠外来の主な違いを解説します。

診療科 主な対象 特徴
精神科 うつ病、統合失調症、不安障害、双極性障害など、精神疾患全般 脳機能や心の働きに起因する病気を専門とする。
薬物療法が治療の中心となることが多い。
必要に応じて入院施設を持つ場合もある。
心療内科 心身症(ストレスなど心理的要因が原因で起こる身体症状) ストレスと体の不調の関連性を重視する。
不眠、頭痛、腹痛、めまいなど、検査しても異常が見つからない体の不調に対して、心理面からのアプローチも行う。
薬物療法やカウンセリングなどを組み合わせる。
睡眠外来 不眠症、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など、睡眠障害全般 睡眠に関する専門的な知識と検査機器(ポリソムノグラフィーなど)を持つ。
様々なタイプの睡眠障害の原因を特定し、専門的な治療を行う。
精神科や呼吸器内科など、他の科と連携していることも多い。

選び方の目安:

  • 不安感や気分の落ち込みなど、精神的な症状が強く出ている場合は、精神科心療内科
  • ストレスが原因で、体の様々な不調(不眠、頭痛、胃痛など)が出ている場合は、心療内科
  • 「眠れない」こと自体が主な悩みで、睡眠の質やパターンに問題があると感じる場合は、睡眠外来
  • まずはかかりつけの内科医に相談してみるのも良いでしょう。体の病気が原因である可能性も考慮して、適切な専門医を紹介してくれることがあります。

病院での治療法

病院では、不安や不眠の原因や症状の程度に応じて、様々な治療法が提供されます。

薬物療法
睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬などが処方されることがあります。

  • 睡眠薬: 入眠困難や中途覚醒など、不眠のタイプや症状に合わせて様々な種類の薬があります。短期間の使用で効果を得られることもあれば、医師の指示のもと適切に使用することで、不眠の悪循環を断ち切り、自然な睡眠リズムを取り戻す手助けとなります。依存性や副作用を心配する人もいますが、医師の指示通りに正しく使用すればリスクは最小限に抑えられます。
  • 抗不安薬: 不安感が強い場合に、不安を和らげるために使用されます。睡眠導入効果を持つものもあります。
  • 抗うつ薬: うつ病に伴う不眠や、不安障害に対して有効な場合があります。

薬物療法は対症療法として有効ですが、根本的な原因解決のためには他の治療法と併用されることが多いです。

認知行動療法
認知行動療法(CBT)は、ものの捉え方(認知)や行動のパターンに働きかけて、問題の解決を目指す精神療法です。不眠に特化した認知行動療法(CBT-I)は、不眠症に対して薬物療法と同等以上の効果があるとされ、近年注目されています。
CBT-Iでは、「眠れないことへの過度な心配」や「間違った睡眠習慣」などを修正し、健康的な睡眠パターンを身につけることを目指します。具体的には、睡眠に関する誤った知識の修正、刺激制御法(眠れない時はベッドから出る)、睡眠制限法(意図的に睡眠時間を制限して眠気を高める)、リラクゼーション法などを学び、実践していきます。

カウンセリング
心理士やカウンセラーによるカウンセリングも有効です。不安の背景にある心理的な問題、ストレスの原因などを探り、それらへの対処法を一緒に考えていきます。話を聞いてもらうだけでも心が軽くなり、安心感を得られることがあります。

その他の治療法
原因によっては、光療法(体内時計の調整)、マッサージ、鍼灸、アロマセラピーなどの補完療法も試されることがあります。また、体の病気が原因の場合は、その病気の治療が不眠の改善につながります。

病院での治療は、医師との相談の上、自分に合った方法を選択することが重要です。決して一人で悩まず、専門家の助けを借りることをためないでください。

まとめ|不安で眠れない夜を乗り越えるために

不安で眠れない夜は、心身ともに大きな負担となります。
しかし、その原因はストレスや生活習慣の乱れ、体の不調、あるいは病気など、様々な要因が考えられます。
原因が分かれば、適切な対処法が見えてきます。

まずは、この記事でご紹介した「今すぐできるセルフケア」や「日中に意識したい生活習慣の改善」から試してみてください。
寝る前にリラックスする時間を持つ、思考を整理する習慣をつける、寝室環境を整える、規則正しい生活を心がける、適度な運動を取り入れる、食事や飲み物に注意する、そして何より「眠れない時に焦らない」ための心構えを持つことが大切です。
これらの取り組みは、継続することで少しずつ効果を実感できるようになるはずです。

もし、セルフケアや生活習慣の改善を試しても不安で眠れない状態が続いたり、日中の活動に支障が出ている場合は、一人で抱え込まず、専門家である医師に相談することを検討してください。
不安や不眠は、不安障害や不眠症などの病気のサインである可能性もあります。
精神科、心療内科、睡眠外来など、適切な診療科を受診し、医師とともに原因を探り、薬物療法や認知行動療法、カウンセリングなど、自分に合った治療法を見つけることが快眠を取り戻すための重要なステップとなります。

不安で眠れないのは、決してあなただけではありません。
多くの人が経験することです。
大切なのは、その状態を放置せず、原因を知り、対処するための行動を起こすことです。
この記事が、あなたが安心して眠りにつくための、そして快眠を取り戻すための、確かな一歩となることを願っています。
今日からできることを始めて、心穏やかな夜を取り戻しましょう。

免責事項
本記事は情報提供を目的としており、診断や治療を推奨するものではありません。不安や不眠の症状がある場合は、必ず医療機関を受診し、専門の医師の診断と指導を受けてください。記事内の情報に基づいて生じたいかなる結果についても、当方は一切の責任を負いません。

監修者情報/参考文献
(※本記事は、提供された構成に基づき執筆されたものであり、特定の専門家による監修や特定の参考文献に基づいたものではありません。実際の記事作成においては、専門家による監修と信頼できる文献の参照が不可欠です。)